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◆国民的兵隊作家:火野葦平旧居「河伯洞」
第6回芥川賞(あくたがわしょう)を受賞した戦時中の国民的な小説家:火野葦平(ひのあしへい)さんのお住まいが資料館(しりょうかん)として一般公開されているということで、今回やってきましたのが「火野葦平旧居:河伯洞(ひのあしへいきゅうきょ:かはくどう)」。河伯洞とは河童(かっぱ)の住む家という意味で、氏が河童をこよなく愛したことから名付けられたそうな。今も河童伝説が残っている若松ならではですね。
ご存じの方も多いと思いますが、念のためにご紹介しますと、火野葦平こと本名:玉井勝則(たまいかつのり)。遠賀郡若松町(現北九州市若松区)で港湾荷役(こうわんにやく)の玉井組:玉井金五郎の長男として生まれ、旧制小倉中学(現小倉高校)卒業、早稲田大学英文科中退。兵役(へいえき)での出征前(しゅっせいまえ)に書いた「糞尿譚(ふんにょうたん)」では見事芥川賞を受賞し、その後、軍報道部時代に執筆(しっぴつ)した「麦と兵隊」「土と兵隊」「花と兵隊」の通称「兵隊3部作」が300万部を超(こ)えるベストセラーとなり、一躍(いちやく)国民的な作家として知られることになりました。
氏の代表作のひとつ「花と龍(りゅう)」は何度も映画化され、現在では翻訳(ほんやく)され海外でも読まれているほど!そんな偉大(いだい)な小説家:火野葦平さんの当時の生活風景を垣間(かいま)見られるのがこの河伯洞というわけです!
まず驚(おどろ)いたのがその建物の大きさ。囲(かこ)いの外からは分からなかったのですが、玄関口からのぞく廊下(ろうか)の長さにビックリ!それにすごいのは広さだけではありません。サクラの一枚板で造(つく)られた床板(ゆかいた)や屋久杉(やくすぎ)の天井組みなど、現在では手に入らない希少価値(きしょうかち)の高い建材がいたるところで使われています。
そして肝心(かんじん)の葦平さんの書斎(しょさい)ですが、小さくまとまっていて豪邸(ごうてい)の一室という感じは全くなく、こじんまりとしたいかにも文人のお部屋という印象(いんしょう)。何だか葦平さんの人柄(ひとがら)が表れているような気がしますね〜。
もちろん資料館としても充実(じゅうじつ)。写真から何から、生い立ち〜没後の現在にいたるまで、氏にゆかりのある物事は網羅(もうら)していると言ってもいいほどの揃(そろ)い方です。それもそのはず、管理人の玉井史太郎(たまいふみたろう)さんは火野葦平さんの三男で、1999年1月24日(葦平さんの命日)の公開以降ずっと常駐(じょうちゅう)されているんです。こだわりはお墨付(すみつ)きですね!
また、平成8年10月にはこの河伯洞が玉井氏から北九州市に寄贈(きぞう)され、現在は市の指定文化財となっています。日本を代表する作家の一生を駆(か)け足で体験(たいけん)できる河伯洞。若松観光では外せないスポットと言えそうです!
◆日本でも数少ない「染と織の美術館」
北九州市若松区の頓田貯水池(とんだちょすいち)を一望(いちぼう)できる丘の上にあり、明治時代の染物(そめもの)と織物(おりもの)作品を中心に展示公開している全国でも珍(めずら)しい「筑前・染と織の美術館」。
こちらでは館長の田中種昭(たなかたねあき)さんが私財(しざい)を投じ、20年の歳月(さいげつ)をかけて集めた作品群が実に約5000点も所蔵(しょぞう)されています。気の遠くなる数字ですね(笑)そのため、3〜4ヶ月ごとに行われるという展示替えのタイミングを逃すと、同じ作品を見られるのは5年周期という途方(とほう)もない充実ぶり。
展示品は久留米絣(くるめがすり)や甘木絞(あまぎしぼり)、筒描(つづが)きなど福岡県産の作品が多く、中でも甘木絞のコレクションは日本一とか!そしてこの美術館の目玉が2階の全体を彩(いろど)る「緞通(だんつう)」と呼ばれる敷物(しきもの)作品の展示。鍋島(なべしま:佐賀)・赤穂(あこう:兵庫)・堺(さかい:大阪)の日本三大緞通を網羅しているのはおろか、赤穂と堺のものに限れば所蔵数はこちらも日本一という。一個人で収集(しゅうしゅう)されたとはにわかに信じがたいほどの凄(すご)さです!
どの作品にも独特(どくとく)の個性があり、ひとつとして同じものはありません。その不思議(ふしぎ)な模様(もよう)の数々を眺(なが)めていると、自分だけの世界に入っていってしまいたくなる、そんな味のあるものばかり。
これら魅力的(みりょくてき)な展示品をじっくりと鑑賞(かんしょう)したあとは、その余韻(よいん)に浸(ひた)りながらコーヒーでも。1階の喫茶室(きっさしつ)から眺める頓田貯水池の自然は絶景で、宮城県の松島湾に浮かぶ日本三景のひとつ"松島"にも例えられるほど。これを見に来るだけでも価値があるかもしれませんね。
ほがらかで笑顔がとってもステキな田中さん御夫婦に、これまたステキな作品群をご紹介いただいて、幸せいっぱいのレポーターでした!皆さんも一度足を運んでみて下さいね!
レポートdate:2006.9.8
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